登山というと、山頂を目指してひたすらテクテクと歩く。近場の山は1,000メートル未満の、いわゆる低山が多いので、小一時間で山頂に着く。山頂で小休憩して、往復2時間程度。
その低山をゆっくり歩いてみると、いろいろな発見があって、とても楽しい。
ヴィパッサナーという瞑想法がある。
ヴィパッサナーは「今という瞬間に完全に注意を集中する」実践です。何をしていても、「今・ここの自分に気づいていく」こと。
– 日本テーラワーダ仏教協会 Webサイトより
このヴィパッサナーに歩いて行なう方法があるそうだ。ポイントは歩く際に、足の感覚を丁寧に感じることです。左足をあげる。運ぶ。着く。右足をあげる。運ぶ。着く。このように実況中継しながらやると良いようだ。
ここまで仔細ではないが、低山をゆっくり歩く時は同じような感覚の中を以前から歩いていた。足を一歩踏み出し、地面を感じる。秋冬なら冷たさも感じる。新しく積もった落葉の音も聞こえる。根っこや石による凹凸も感じる。その一歩により生じる、何かを感じる。
一歩一歩ゆっくり、登山道の感触を楽しみながら歩く。しゃがんで苔を眺めたり、落ち葉を掴んでみたり、樹々を見上げたり。秋なら紅葉をゆっくり楽しんだり。冬ならすっかり葉を落とした樹々が風に撓る音を楽しんだり。
こうして、ゆっくり登った先にある山頂で、眼下に港を見ながら飲むインスタントコーヒーは、格別である。